仲直り

留三郎と喧嘩した。でも今回は僕は絶対に悪くないから、謝りたくないし、すぐに許したくもない。珍しく本気で怒ってるんだよ、僕。

「なぁ、伊作…ごめんって…」

ソファの端と端に座って僕は思いっきり顔を背ける。きっと今留三郎は困ったような表情をしてるんだろうね、弱りきった声ですぐに分かるよ。

「とりあえず俺の方向いてくんねーかな」
「うるさい」
「すいません…」

事の発端は、留三郎が僕が大切にとっておいたプリンを食べてしまったこと。え?そんなこと?いやいや、あのプリンは有名なケーキ屋さんで一日限定15個しか売ってないやつなんだよ!開店二時間前から並んでやっと買えたのに、僕の留守中に食べちゃって。楽しみにしてたのに。

「…もうしつこく謝っても仕方ねぇから、伊作が許してもいいかなって思うまで俺静かにしてる」

どうやら留三郎は諦めたみたいで、弱々しくそう言ったきり静かになった。チラリとそちらに目線を送ると明らかにしゅんとして俯いていた。…もう、仕方ないなぁ。

「留三郎、悪いと思ってる?」

声のトーンを落としたまま呟くと、パッと顔を上げてこちらを見ながら何度も頷く。なんだか意地悪するのも可哀想になって、大きく溜め息をつく。

「じゃあごめんなさいのちゅーして」

やっぱり僕はなんだかんだで留三郎には甘い。留三郎は身を乗り出して僕の唇にキスをした。ソファが軋む音とリップ音が重なる。すぐに唇を離した留三郎は顔色を伺うように僕を見上げる。子犬みたいで急に愛しくなって、なんだか笑ってしまった。

「もう怒ってないよ、意地悪してごめんね。でもごめんなさいのちゅー、まだ足りない」

留三郎は安心したように満面の笑みを浮かべた後で僕に覆い被さって何度もキスをしてくれた。唇、ほっぺ、おでこ、目蓋。くすぐったくてクスクス笑うと留三郎もつられて笑う。

「伊作すき、大好き。ごめんな、今度は一緒に買いに行こう?」

こんなに素直で可愛い留三郎は、仲直りした直後だけに見られるレアな留三郎。そう思うと喧嘩も悪くはないんだよね。キスの嵐を受けてたら、もうプリンのことなんてどうでもよくなってそのまま僕らはいちゃいちゃした。

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留さんが少し女々しいかなーと思ったけんども、たまにはね!
こんな可愛い仲直りの仕方だったらいいなぁと思いまして、衝動でばばっと。
いさっくんは留さんの扱いが上手そう。嫁の尻に敷かれてる旦那も好きよ!!!
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